爺サマ、永久に眠る


ウチの実家で番犬を勤めてくれた
爺さまが16年の生涯に幕を閉じました。
名前は龍之助、雑種、オス
俺は爺さまが小さい頃から
留学やら県外の大学やらで
家に居なかったので
学生を終えて実家に帰っても
いつも部外者扱いで吠えられてた
でも(女)友達や(元)彼女を連れていくと
吠えることは一切なく、やたら尻尾振って
愛想振りまいてたっけな
友達が爺さまの頭を撫でつつ
「なに?この子可愛いんだけど?
 愛想悪いって聞いてたけど
 全然違うじゃない


 ていうかアンタだけでしょ?嫌われてるの?」


…ちっ、あの野郎


まぁ実家に数年一緒に暮らしてたけど
結局一度家族として認めてもらえなかったような気がする
晩年の頃になると
もう耳も目もほとんどダメになって
鼻だけで判別してたのかも
ここ3年は盆と正月くらいしか
会うことがなかったけど
帰省する度に俺に近寄ってきて
すねの辺りの臭いを嗅いでは
「フン、お前かよ」みたいな感じで
さっさと自分の定位置に戻ってたっけな


今朝亡くなった時
珍しく父が電話してきて
「じっちゃん大往生したよ、
 会えなくて残念だったな」って


飼い始めのキッカケは妹だった
当時は俺と両親、全員が皆が反対した
前に飼っていた犬が亡くなった時に
こんな辛いんならもういいって思ったからだ
けど妹も「そういう経験」をした方がいいと
思った母の判断で飼うことになったんだよな


で、飼い主からさっき電話があって
「次は自分から飼うこともうないよ、無理」と


帰省したら墓参りしてあげないとだな…あの野郎